実際にこの時代を知っているのは、年齢が40代後半以降の人でしょうか?
それより若い世代の人にとっては、親やニュースなどで言葉は知っていてもどんな経済状況であったのかは経験がないので、そんな時代があったんだな~という程度の認識だと思います。
バブルとは、不確実だけど利益が大きくなることを狙って行う行為(または、短期間での変動の差益だけを狙って行う売買行為)が過熱し、資産価値が実質の価値をはるかに超えて高騰し、その後急激に資産価値が下がる現象のことを言います。
1980年代後半から1990年代初めにかけて、物価はどんどん上がったのですが、消費者が手に入れるお金(株の投資やお給料などですね)もどんどん上がっていたので、物価の高騰もなんのその、お財布片手に(か・・どうかはわかりませんが)ガンガン消費します。
消費によって物もどんどん売れるので、企業は儲かり、社員のお給料はさらに増加していきました。
このループがひたすら繰り返され、この時期の日本はすごいことになっていました。
今となっては、ちょっと想像もつきませんね。
でも、なぜこんな現象が起きていたのでしょうか?
バブル景気はなぜ起こったのでしょう?
バブル景気のトリガー(引き金)となったのは、プラザ合意だと言われています。
プラザ合意とは、先進国5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そして日本)による為替レートに関する合意のことです。
アメリカが貿易赤字の解消を目的として、ドル安政策を行ったのです。つまり、ドルの価値をあえて落とそうとした訳です。
この合意によって、1985年当時『1ドル=約240円』だったのですが、わずか1年後には『120円』台になったのです。
※1ドルを日本円に交換するときに、240円必要だったものが、120円で交換できるようになった訳です。
『円高』『ドル安』という言葉がありますよね。
日本円の『円』の部分の金額が下がるのに、なんで『円高』なの?とちょっと混乱してしまうのですが、240円を出して、1ドルと交換していたものが、半分で1ドルと交換できるようになったということです。
つまり、円の価値が上がり『高くなり』ドルの価値が下がる『安くなる』という意味です。
海外の物を買うときとか海外旅行に行くときは、そのほうがいいんじゃないの?と思いますよね?
少しの『円』で『ドル』と交換するともらえる金額が増えるので、確かにこの場合は有利と言えます。
しかしながら、企業の立場から考えると、逆の考え方になる企業があるということです。
『ドル』を『円』に交換しようとした場合(物を売ろうとしたとき)、1ドルで240円になっていたものが、1年後には120円にしかならなくなってしまったという企業が出てきたということです。
すなわち、極端な円高が発生すると輸出産業が打撃を受け、不況に陥る危険性が高まるということです。
状況を打破する為に
このままではまずいと考えた日本政府は、金融緩和を行い乗り切ろうと考えました。
低金利で企業や個人にお金を貸して、お金の流通を増やそうとしたのです。
低金利でお金が借りられるようになったので、多くの企業や個人の人がお金を借り、株や土地へ投資したのです。
特に土地は絶対下がらないという噂が広まり、どんどん投資する人が増え、土地の価格はどんどん上昇していきました。
いわゆる土地転がしです。(土地を使うためではなく、利益を得るために買う、売るを繰り返すということですね)
所得が増えれば、消費も促されます。景気が上昇しているので、物価もどんどん高騰しますが、所得も上がっているので、人がどんどんお金を使います。そして更に会社が利益も上がります。会社の利益があがれば、当然社員にもお給料として還元されます。
・・・とひたすらこのループが起こり、今までに経験のない好景気が日本に訪れたのです。
突然訪れたバブル崩壊
このまま夢のような状態が続くと誰もが信じていました。不景気が訪れるなんて思う人はおそらく誰もいなかったでしょう。
しかし、その夢のような現実は一気にもろくも崩れ去りました。
それはなぜか・・・
土地や株が安いから買いたいと思っていたわけです。買う人がいるから価格が上がります。
もっと利益を得たいと考える人が出てきます。売ったお金で別のものを買ったり、一回売ってまた買おうとする人がどんどん増えていきました。少しでも安いときに買って待っていれば価格が高騰しさらに利益があがるだろうと考えた訳です。
結果どうなったのでしょう?
売り手が増えれば、価格はどんどん下がり始めます。下がり始めたことに危機感を感じた人がさらに焦りを感じ早く売ろうとします。(資産価値がどんどん下がっているわけですから)
売り手が一気に増大します。結果、持っていたものは、買ったときの価値を失い、とうとうバブルが崩壊してしまったというわけです。
まとめ
プラザ合意という先進国5か国の為替レートの合意により、アメリカが自国の赤字解消のために、ドルの価値を下げました。その結果、日本のお金の動きが鈍くなり、それを解消するために日本政府が低金利政策を打ち出しました。
金利が下がったことで、お金を使う人が増え、景気は一気に上昇しました。
さらに利益を得ようとした人が増え、売りが集中したことで逆に資産価値がさがり、一気にバブルが崩壊したのです。
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